自分では「夢のため」「家から離れたかった」等というが、実際はそうではない。
彼が12歳の誕生日を迎えた日、彼はこっそり神殿を抜け出し、家へと帰っていた。
だが、その先に見たものは、血の匂いの漂う凄惨な光景だった。
風に乗せられその場を過ぎ去っていく血の匂いと、肉の腐った匂い。
屋敷の中を探し回っても、誰もが殺されていた。
しかし、両親と許婚だけはどこを探してもいなかった。
許婚の部屋には「ダルクレムの使徒」、両親の部屋には「第二の剣」と血で殴り書きされていた。
彼は「この惨劇を引き起こしたのは蛮族だ」という結論に達し、旅に出た。
それ故、蛮族退治を率先して行おうとする。
普段は明るい笑顔を絶やさないようにしているが、時折彼の顔を歪めるのはそうした出来事の所為かもしれない…。
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