3.概要
四端子定数とは、図3.1に示すような回路において、入力電圧をV1、出力電圧をV2、入力電流をI1、出力電流をI2としたとき、
V1=AV2+BI2
I1=CV2+DI2
と表した時のA、B、C、Dを指す。この式は、行列化すると以下のような式になる。
[ V1 ] = [ A , B ] [ V2 ]
[ I1 ] = [ C , D ] [ I2 ]
図3.1で、A、B、C、Dと書かれているブロックが回路を表す。回路の中身は考えず、この四つの定数を求めておけば入出力の電圧、電流の関係を調べる際に回路計算を簡単化できる。またA、B、C、DをFパラメータと言い、その行列をFマトリクス(F行列)と言う。複雑な回路においても、要素回路ごとに縦続接続に分解すれば、回路解析を簡単化できる。
これらの定数は、出力側端子を短絡または解放して求めることができる。出力を解放した場合、出力側に電流は流れないので、I2=0となる。これを上式に当てはめれば、
V1=AV2
I2=CV2
上記二つの式より、定数AとCが求められる。
A=V1/V2
C=I2/V2
出力を短絡した場合、電圧降下が起こらないので出力電圧V2=0となる。これを上式にあてはめれば、
V1=BI2
I1=DI2
となり、定数BとDが求められる。
B=V1/I2
D=I1/I2
尚、四端子回路は二端子対回路とも呼ばれ、Fパラメータは四端子回路の数あるパラメータのうちの一つである。四端子回路のパラメータにはFパラメータの他にZパラメータ、Yパラメータ、hパラメータ、Sパラメータなどがある。
Zパラメータ … 入出力の電流に対する電圧の関係を表す。
Yパラメータ … 入出力の電圧に対する電流の関係を表す。Z行列の逆行列。
Fパラメータ … 二つの端子の電圧・電流の関係を表す。
hパラメータ … トランジスタの入出力特性を求めることが出来る。
Sパラメータ … 高周波において使われる。二つの端子への入射波と反射波の関係を表す。
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