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支離滅裂なことを書いてるただの自己満足ぶろぐ。 中の人は基本痛いです
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戸之
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作曲、落書き、睡眠、TRPG、創作
自己紹介:
痛い人



メアド及びスカイプID晒し
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正しウィルスは却下

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※話しかけても基本反応ありません。
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今回の戦闘シーンは「剣を継ぐもの」の要素も取り入れてます。具体的には詠唱の部分。
ただ、こっちが勝手に作ってるものもあるので、公式で同じ魔法が出てくればそちらに合わせて変わるけど。

いつか劇中で出てきた魔法の詠唱リストでもつくりたいなあ。



 アリオブルグの話が終わっても、誰も喋り出そうとはしない。
 オウルも、シュルヴェステルも。
 そんな中、アリオブルグは両の腕を広げる。すると、どこからともなく、朽ちた馬と、ランスを持ったアンデッドが現れる。
「あれもレブナントだわ。気をつけて、さっきのやつとは比べ物にならない強さよ!」
 レフォーナが叫ぶ。ディスティル、トーマスはそれぞれの武器を構える。クライネ、レフォーナもまた、戦闘準備に入る。
 だが、オウルはアリオブルグをじっと睨んだままであった。シュルヴェステルはそんなオウルをただ見ていた。
「過程はどうだっていい。でもあんたは私の大事な人を…!」
 オウルの顔には、それには似つかわしくない憎悪の表情が伺えた。決して目の前の仇敵を許さないという、憎悪。奪われたものがその身に宿す、憎悪。
 そして、何をしたところでそれ自体が何も生み出すことはないもの。
 アリオブルグはそんなオウルの様子を見て、嘲笑とも取れる笑みを浮かべた。
 笑う、哂う、嘲笑う。
 邪悪なものしか感じ取れないその笑いは、オウルの憎悪をさらに深くさせた。
「今思えば、ヴォルクライア様も堕ちたものだな。たかが人間の少女に恋し、そのために死を望むのだから。生あるということの素晴らしさを、あの方は忘れてしまったのか」
「……」
「何だ、その顔」
 嘲笑いを微塵も消さずに、アリオブルグが言った。
 彼の一言一言が、オウルの憎悪を深く深くへと押し込み、その顔に貼り付けられたそれをさらに濃くさせる。
 そんな様子を、シュルヴェステルはただ見つめるだけだった。
「お前が私に怒りを覚える要素がどこにある?」
 さらに、アリオブルグは続ける。
「ヴォルクライア様の事に関して、お前が怒る由縁はない。男のことだって、自然の摂理に逆らおうとした貴様が悪い。お前が私に怒りを感じることこそがお門違いだ」
「うるさい!」
「寧ろ、いたずらに穢れを与えることをしようとしたのはお前のほうだ」
「黙れ…ッ!」
 その刹那。
 アリオブルグに飛び掛ろうとする、一つの影があった。それに立ちはだかる一つの影も、そこにあった。
 二つの影は重なり合い、そして離れる。一つの影はアリオブルグを目標にして走り、もう一つの影はそれを止めようと動く。
 その姿は、オウルとシュルヴェステルのものだった。
「止めないで!」
「聞けませんよ!」
 二つの影が入り乱れ、交錯する。それは、シュルヴェステルの起こした行動は、この迷宮を踏破することという目的に反したものだったのだろうが、彼は止めずにはいられなかった。
 オウルはどうにかシュルヴェステルを抜こうとするが、シュルヴェステルのほうがそういう戦い方には一枚上手だった。巧みにオウルの移動を先読みして、妨害してくる。おまけにオウルは今、冷静な判断ができなくなっている。
 そのことが、シュルヴェステルがオウルの動きを読みやすくさせていた。
「どいてよ、そいつを倒さなきゃいけないんだ!」
「聞けませんって言ってるでしょう!」
 そうしてオウルとシュルヴェステルが組み合っている間にも、レブナントとディスティルたちの戦いは始まろうとしていた。
 レブナントは馬に飛び乗り、ディスティルたちへと突進を仕掛ける。
 その射線上に、オウルとシュルヴェステルはいた。彼らはそれに気付かなかったのか、それを避けられなかった。
 馬上から振り下ろされたランスが、彼らを穿ち、宙へと放り投げる。
 レブナントが放ったのは刺突でも斬撃でもなく打撃であったが、それでもその一撃は途轍もなく重かった。時間が遅く流れていたとしても、二人ともかなり長く空を漂っていたように見えた。

 レブナントは突進の速度をまったく落とさず、ディスティルたちを襲う。トーマスの馬がレブナントの馬を受け止め、ランスを受け止めようと両手の槍を構える。
 凄まじい金属音とともにランスが十字に交わったピラーを、ランスが押していく。
 それはトーマスの顔の横を通り過ぎ、柄とピラーが交わったところで止まる。その後、レブナントはランスにさらに力を入れ、ピラーを沈めてくる。
 その重圧に十字を維持しきれずにピラーは裁かれ、その折にトーマスと馬はバランスを崩し、後退する。
 その一撃で隙ができたレブナントにディスティルが殴りかかり、クライネが魔法を撃ち込む。
 光弾と魔力を纏った拳がレブナントを穿たんと一直線に飛ぶが、それらはランスにいとも簡単に掃われ、ディスティルは攻撃の際の隙を衝かれて馬に蹴飛ばされる。
 そんな彼らに、レフォーナの《防護壁》が張られる。
 そして、トーマスとレブナントは槍を交える。左右から同時に放たれた刺突がランス一本によって捌かれ、流れるようにレブナントはランスを振るい、トーマスに一撃を叩き込む。
 その攻撃は魔法の防護壁をいとも簡単に破り、振るわれた穂先がトーマスの体を少しだけ抉る。
 そうしてよろめくトーマスの後ろから飛び出してきたディスティルが、魔力を纏った一撃を繰り出した。レブナントは身をよじって避けようとするも、左肩に当たる。
 その攻撃自体は鎧に弾かれたが、拳から注入されたマナが、確実にレブナントにダメージを与えている…が、構わずにレブナントはディスティルの腕をつかみ、投げ飛ばした。
「このレブナント、確かに強い…!」
 その一連の動きを見ていたクライネが言った。
 彼女は光の妖精の力で、トーマスとディスティルを強化し、また傷を癒していた。今の剣を持たない彼女にできることといったら、それくらいのものだった。
 彼女が回復役を請け負うことで、ディスティルは魔力をまとった攻撃が放てる。この四人の中で、一番打撃力の高いのがディスティルだった。
 レフォーナはひたすらにトーマス、ディスティルを強化していた。各々の武器の切れが、先ほどとは比べ物にならないほど良くなっており、またクライネの回復で補えない部分を、自然治癒力を高めることでカバーしていた。
「あいつは化け物か。あれだけの量の攻撃を当てられて、まだ立っていやがる」
 レブナントは痛覚を持たない。それが滅びるとき、それは肉体が限界を迎えたときだ。
 しかし、このレブナントは一般に知られているそれの再生能力を遥かに凌ぐ速度で体を再生させていた。
 それにより、本来ならば倒れていてもおかしくないダメージを受けてもすぐに持ち直すし、何より与えられるダメージより回復量が勝っている。
 これではジリ貧。そう思ったクライネとレフォーナは、攻撃に転じる。
「撃ち抜けえ!」
 クライネの手に光の弓が現れ、そして彼女は矢を構える。ギリギリまで弓を引き、そして放つ。狙いなどつけていなかったが、それでいい。この矢は確実に相手を穿つ。
「真、第四階位の攻。閃光、電撃――稲妻!」
 レフォーナは手で紋章を描き、呪文を唱える。その動作の後、手を突き出すと、指輪から稲妻が一直線にレブナントへと飛ぶ。トーマス、ディスティルはその射線上から外れていた。
 稲妻はレブナントの体を焼くが、それは完全に効果を発揮していないように思えた。
 その直後、クライネの放った矢がレブナントを穿つ。そこにディスティルとトーマスが各々の持ちうる最大の攻撃を放つ。その猛攻に、一瞬だけレブナントの動きが止まる。
「やったか?」
「まだだ!」
 ダメージの量はかなり多いはずだったが、それでもレブナントは立っていた。しかも、傷は既に癒えつつある。
 ランスを構えなおし、レブナントはディスティルに重い一撃を放った。
 それはディスティルの体力の殆どを奪っていき、馬が追い討ちをかける。立て続けに起こった衝撃で、ディスティルは吹き飛ばされる。
 そして、そこにトーマスが反撃を仕掛ける。二本のピラーが、レブナントの左胸を貫く。再生しかけた傷口に攻撃を叩き込まれ、一時的に再生が追いつかなくなる。
「あれは…!」
 そのことにはじめに気付いたのは、レフォーナだった。
「レフォーナさん?」
 怪訝に思ったクライネは、レフォーナの様子を伺った。しかし、その横顔に見えるのは、感情の乗っていない様子のみ。
「もしかしたら、あの恐ろしいまでの再生能力を秘めたレブナントを倒せるかもしれないわ」
「何故ですか?」
 ランスとピラーが互いを打ち付け、払い除ける音が、絶えず響いていた。
「今までは傷を受けた箇所を集中攻撃していなかった。だけど、今トーマスが一箇所に集中攻撃した場合は再生能力が追いつかなかった」
「ということは…」
 レフォーナの言わんとしていることを、クライネも理解したらしい。
「そう、一箇所に攻撃を集中させれば、そこから確実にダメージは溜まるはず」
 その言葉と同時に、レフォーナは呪文を唱え始める。
「真、第三階位の攻。切断、斬刃――空破斬!」
 呪文とともに紋章が描かれ、レフォーナはそれを斜めに切る。すると、離れた位置にいたレブナントの肩から腹にかけて、紋章と同じ様に切れる。
 マナの刃を振るい、切り裂く魔法、《空破斬》。
 レフォーナの《空破斬》を皮切りに、彼らの猛攻が始まる。
「打ち砕け!」
 複数の妖精が、それぞれの持つ力をそれぞれの象徴する色の光の弾に凝縮させ、それらは混ざり合って、やがて白色の光を放つ弾となる。
 クライネはレフォーナのつけた傷に目標を定めて、その弾を撃ち出した。
 その弾は、早くも治りかけているレブナントの傷を抉り出し、被弾箇所から煙を吹き出す。
 レフォーナとクライネの狙いに気がついたのか、トーマスとディスティルも同じ箇所に攻撃を叩き込む。
 トーマスの槍が続けてレブナントの傷を抉る。朽ちた体からは血など吹き出さず、肉片が辺りに飛び散る。
 そして、ディスティルが魔力を込めた両の拳を叩き付ける。
 その猛攻が、レブナントの右肩を吹き飛ばした。その反撃とばかりに、レブナントは左腕でランスを振るった。
 ランスは一直線にディスティルに向かい、脇腹を抉る。ランスに突き刺さったディスティルは振り落とされ、馬がそこに蹴りを入れる。
 レブナントの傷は癒えていたが、右肩だけは吹き飛ばされたままだった。

「操、第八階位の幻…」
 アリオブルグは小声で呪文を唱える。その行動はレブナントの突進と同時に行われていたため、だれもそれに気付くことはなかった。
 オウルとシュルヴェステルは肩膝をつき、ただ目の前の男…アリオブルグを睨んでいた。
 両者とも傷を負っていた。癒しの力により幾分かは癒えていたが、満足に戦える状態で
はない。
 アリオブルグは二人を睨み返した。
「お前が如何にあの男を好いていたかは知らん。だが、人族にとっても蛮族にとっても、穢れを溜め込む《蘇生》は忌避するものだ」
 二人は何も言わない。ただ、アリオブルグと睨み合うのみだった。
「簡単に魂を穢れさせようなどと考えるなよ、餓鬼。人が死を恐れる以上に、自らに穢れが溜まることを恐れることはお前も知っていただろう?」
 アリオブルグは、ゆっくりと二人に近づいていく。それに対し、オウルとシュルヴェステルは身構える。
 しかし、今の彼らにはアリオブルグに抵抗する力はない。それとは裏腹に、二人はいっそう強くアリオブルグを睨んでいた。
「魂の穢れは、人に与えられるものではなく自分で取り込むものだ。穢れを帯びるか帯びぬかはその者次第。不死に魅入った者、いたずらに力を求める者のみが、穢れを纏い、その欲望を満たそうとするのだ」
 ゆっくりと、刀身と鞘が擦れる音を立てながら、アリオブルグは剣を抜いた。
 身をかがめ、オウルの首筋に刃を軽く当て、そしてオウルの耳元で呟く。
「穢れを纏わせようとする、人族の恥さらしめ」
 その言葉に、オウルは我慢の限界を超え、アリオブルグに裏拳を叩き付けた…ように見えたが、それはアリオブルグの体をすり抜けた。
「何…?」
「どこを狙っているのかな、餓鬼」
 それが幻影であったことに、オウルはその時気付いた。
 嘲り笑うかのように、アリオブルグはオウルを見下ろしている。彼がオウルの近くにいたことは確かだが、接触してはいなかった。
 シュルヴェステルは小声で起動語を唱え、アリオブルグに両の銃身を向ける。
「当てられると思うなら当ててみるがいい。尤も、この姿が本体であるとは限らんがな。そして、今お前の横にいるその餓鬼も、本体であるとは限らん」
「何を言ってるのか、理解に苦しみます…!」
「簡単なことだよ。お前は私ではなく餓鬼を撃つかもしれない、ということだ」
 それを告げられて、シュルヴェステルは引きかけた引き鉄を止めた。右手と左手の両方が震え、両方の銃弾に込められた魔力が行き場を失っていた。
 やがて、銃弾に込められたマナが拡散する。
 そんなシュルヴェステルに対して、アリオブルグは蹴りを入れた。両手に銃を持っていたがためにそれを防御する術がなかったシュルヴェステルは、それを腹に入れられる。
 その衝撃に、シュルヴェステルは口から血を吐き出す。
「残念だったな、私は本体だ」
 その言葉に、シュルヴェステルが目を見開き、両手の銃をアリオブルグに向ける。
「マギスフィア起動、ターゲットサイト、ロック。ソリッド・バレット装填…!」
 両手の銃から、魔弾が発射される。それはアリオブルグに向けて放たれたが、彼はそれを難なく避ける。
 それに対し、シュルヴェステルは呆然としていた。
 剣は飾りだと思っていたが…、と思った矢先のこと。シュルヴェステルはアリオブルグが持っていたのが剣ではなく棒杖であったことに気付いた。
 あたかも武器が剣であるかのように思わされていたが、違った。しかも、シュルヴェステルはその杖が何であるか知っていた。
 …マナスタッフ。
 それは、持ち主のマナを増幅させる力を持つ、魔法の棒杖。
「銃口の向きと弾の速度さえ把握していれば、簡単に避けられるんだよ。人族の恥さらしに仕える、ルーンフォークの恥さらしが…!」
「…あなたは……!」
 アリオブルグの背後から、オウルが飛び掛ってきた。しかし、アリオブルグはそれすら避け、そしてそのお返しと言わんばかりに呪文を唱え始める。
 手に持った杖がアリオブルグのマナを増幅し、魔法の強度と完成度を高める。
「操、第八階位の攻。邪雲、猛毒、変化――強酸」
 周囲のマナが、その辺りの空間に存在する水蒸気が、空気中の塵などを媒体に凝結していく。見る見るうちにそれは膨張していき、強酸の雲を作り出す。
 雲はオウルとシュルヴェステルの周りを取り巻き、今にも酸性の雨を降らせようとしていた。その中で、アリオブルグの周囲には酸性の雲が現れていなかった。
「主人が恥さらしなら、その従者も恥さらしだな。恥さらし同士、二人一緒に死んでゆけ」
 酸性の雲が、雨を降らした。

 …過去が、牙を剥く。

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